夏を迎えるにあたり、お庭の強敵として成長著しいのが雑草です。雑草はお庭をちゃんと管理していても生えてくるので、あまり使っていないお庭はさらにボウボウ、荒れ放題になってきます。雑草をそのままにしておいていいことは一つもありません。フェンスや花壇の緑石に絡みついて劣化・変色させたり、茂みは蚊や害虫の格好の住処となります。
それに、雑草だらけのお庭を目の当たりにしては出ようとする気も起きませんよね。ここでは、自然な雰囲気も感じられて手入れいらずのお庭の優等生・人工芝の構造や魅力、真似したくなる施工事例をご紹介します。お庭はあるけど雑草だらけで使ってない、お庭に魅力が無いので外に出る気が起きない、そんなご家庭にピッタリのアイテムですよ!
人工芝の基本情報
そもそも人工芝とは、天然の芝を模したシート上の芝のことで、丈夫でメンテナンスフリー、幅広い年齢層に好まれる外観なので、最近ではスポーツ用のスタジアムでの使用やランドスケープの景観向上以外でも、室内のキッズスペースにも取り入れている施設もあるくらいです。
知っているようで意外と知らない人工芝の基本的な知識、メリット、施工法をお教えしますので、是非あなたのお庭に取り入れてみてください。
構造
人工芝の材質は編糸パイル/ポリエチレン、ポリプロピレンなので柔らかいのにとても丈夫です。通常はロール状のシートで販売されており、シートは透水性を確保するためにある程度隙間(穴)があります。

芝の見た目ですが、ホームセンターで売られているような格安のものはいかにもビニール素材の人工物といった外観ですが、人工芝専門メーカーの人工芝ですと本物と見間違うようなリアルな外観、質感を再現しています。本物そっくりにするため、芝の中にも枯れて色あせた芝を点在させ、雰囲気は天然芝そのものです。
芝の形はメーカーによってタイプが異なりますが、通常のI字と断面図がV字に折れ曲がったV字タイプの二種類があります。それぞれ特徴があり、I字だと常に重いものを同じ所に乗せていると次第に人工芝に癖がつき、芝が寝てしまいます。芝が寝てしまうのを解消するために作られた真ん中に芯が入ったV字タイプですが、このV字が経年劣化により数年後には真ん中から裂け、避けると枝毛のようにどんどん芝が細くなってきます。どちらも長所・短所がありますので、ご自身のこだわりや使い方を認識した上で選びましょう。

芝の長さもメーカーごとに違いがあります。どこもたいてい数種類用意しており、芝高が20〜40mmほどの違いがあります。20mmはゴルフのパターの練習にも使える長さで、スポーツジムでも採用されている長さです。40mmは一般的な芝高で、素足で歩けばふかふかしているのが特徴です。一般家庭の一般的な使い方を想定すると、40mmがベストな選択と言えるでしょう。
メリット・デメリット
メリットはもちろん2点、場所を選ばない恒久的な美しさとメンテナンスフリーということです。お庭によっては日照条件の悪い空間もあり、そこでは思うように天然芝は育ってくれません。人工芝ですともちろん日光は関係ないので、施工した日からずっと美しい緑の空間がお庭に広がります。
定期的なメンテナンスがいらないというポイントも選ばれる理由です。天然芝は乾燥に弱いので乾燥する時期には水やりは欠かせませんし、よく生育する時期は月に1〜2回は芝刈りをしないとぼうぼうになってしまいます。人工芝ならそのような手入れからは開放されるので、お休みの日も芝の手入れに時間を裂くことなく緑の芝を楽しめます。(人工芝にもメーカーが設定する寿命はあります。大抵は7〜10年を設定しています)

デメリットは天然芝に比べて値段が高いことです。材料費のみで比べてみると、天然芝なら10平米5000円ほどのところを、人工芝だと50000円前後します。これにプラスして人工芝の下に敷く防草シートや固定するU字ピン等が必要ですので、お値段は決して安くはありません。

施工法
素人による施工は2つの点でお勧めできません。お庭で施工する場合、しっかりした下地を施さないと必ずデコボコした過ごしづらい地面になってしまい、雑草対策が不十分で人工芝のシートの中や脇から雑草が伸びてくるからです。(室内での施工はこの限りではありません)
なので、簡単に思える人工芝の施工も、ちゃんとプロに頼れば問題なく快適な芝が楽しめます。
プロが行う施工の手順は、
①入念に除草をして雑草をなくします。草の根が土の中に残っていると後々雑草が復活する可能性があるので、土も丁寧に掘り起こしてチェックします。

②均した土の上に砕石をある程度の厚みで敷設し、ランマー(締固め用機械)で転圧し、平らにします。さらにその上に透水性を高め、且つ転んでも痛くないようにきめ細かい川砂を敷き詰めてこれも均します。

③均した下地の上に防草シートを敷いていきます。万が一にも雑草が伸びてこないよう、継ぎ目は重なるように二重に敷き、ずれないようにテープで固定します。

④上記の下準備が整ってはじめて人工芝を敷きます。芝目が自然に見えるようにリビングルームなどからの視点から確認し、視線に芝目を向けるように敷設します。こうすることで人工芝特有の光沢感を抑制することができます。継ぎ目も素人では隠せませんが、技術のある職人ほどうまく継ぎ目を隠して敷いてくれます。人工芝や接着剤やU字ピンでずれないように固定するので、完成した人工芝の上でお子様が走り回ってもずれることはありません。

人工芝の施工例
芝といえばお庭に敷くのが普通ですが、光や水を必要としない人工芝は施工する場所を選びません。ここでは代表的な使い方から、人工芝の材質を活かした施工法を写真とともにご紹介します。
お庭に敷く場合


お庭に広く敷く場合、気になるのは施工した造形物との接触面ですが、プロの施工ならめくれることなくぴったりと人工芝と造形物を寄せることが可能です。ポールのように棒状の物体も、その形に合わせて丁寧にカットするので、不自然な仕上がりにはなりません。
草目地として使う場合


コンクリートのクラック防止のため等に設けられるスリット。通常でしたらここにはリュウノヒゲ等を植えて草目地にしますが、日照条件や手入れによっては下草の元気がなくなったり、逆にこんもりと育って美しさを損ねてしまう場合があります。そんな時も人工芝を代わりに使えば手間を掛けずに美しい緑のラインが出来上がります。
最近では最初からライン状にカットされているものを販売されており、人工芝による草目地の人気が徐々に広がりつつあります。
また、写真のように駐車場におけるコンクリートの面積を減らして無機質なカースペースをナチュラルテイストにデザインするのもオススメです。
タイルテラスに組み込む場合


屋根付きのタイルテラスの中にも自在に組み込めるのは、場所を選ばずに施工可能な人工芝ならではのデザインですね。階段の踏み面にも取り入れれば、面積が限られた空間も緑豊かな癒やしのスペースに変身します。
まとめ
人工芝は初期投資こそかかりますが、大事に使えば長くお庭を美しく飾ってくれる最高のアイテムです。ガーデンライフを楽しみたいけど手間は掛けたくない、せっかくあるお庭をなんとか活用するきっかけが欲しい、そんな方には是非この人工芝をオススメします。