コハウチワカエデ

コハウチワカエデ(ムクロジ科カエデ属 落葉小高木)

丸みを帯びた葉が可愛らしい
和にも洋にも似合うモダンなコハウチワカエデ

モミジには憧れるけれど、純和風になってしまいそうで…という方にぜひオススメしたいのが、このコハウチワカエデです。
葉の切れ込みが浅く、赤ちゃんの手のひらを広げたような丸みのある葉はとても可愛らしく、鋭い切れ込みのイロハモミジ等と比べても純和風になり過ぎません。
樹形も根元から何本かの株が出ている「株立ち」樹形であれば、よりナチュラルな雰囲気が演出できます。

この木がふんだんにお庭に取り入れられるようになってきたのは、日本の里山を再現したような「雑木の庭」がブームになり、山に生えている木々に人気が高まってきてからのこと。
当時しきりに植えられたのがヒメシャラやヤマボウシ、といった野趣溢れる雑木たちです。
ところが、10 年15 年と経つ内に、1 本1 本の幹が野太くなって最初の頃のやさしい雰囲気を失ってしまったり、手入れが滞ると大木になってしまって手に負えなくなったりと難点も見えて来ました。

そこで注目され始めたのが、生長を遂げても華奢(きゃしゃ)で趣きのあるコハウチワカエデのような木です。
枝葉も少なく、幹はほっそりしてあまりクセのない雰囲気は、和にも洋にも、モダンテイストの庭にも馴染みやすく、お庭のシンボルツリーとしても人気が高まっています!
ふんわりとやわらかな葉がどのような雰囲気にも似合うコハウチワカエデの葉

切れ込みが深く和風の庭に映えるイロハモミジの葉

名前の由来は?どこから来た木なの?

「子羽団扇楓」(こはうちわかえで)という和名通り、その葉のサイズは仲間のハウチワカエデより少し小さく、3~5センチ前後と小ぶりです。
視覚的にも小さな葉が風にそよぐ様子は涼しげで品があります。
山あいでは小川にせり出すように枝を伸ばして景観を作っているので、山歩きに訪れる機会があればぜひ探してみて下さいね。新緑の季節に見つけられれば、とても初々しい新緑が堪能できます。

春の新緑、オレンジから赤へのグラデーションの美しさ…どちらも思わず目を奪われます

このコハウチワカエデ、本州から四国、九州の山間部に自生しており日本固有種。まさに雑木の庭の趣きを演出するには最適な1 本かもしれませんね。

もちろん、秋には真っ赤に染まる紅葉も楽しめるのがカエデ類の醍醐味。
秋の初旬頃から寒さに当たるにつれ、葉の先端から淡く桃色がかったオレンジに色が変わっていき、次第に全体が赤く染まります。
丸みのある葉が赤く重なり合う様子は情緒たっぷり。季節の移り変わりを感じさせてくれるだけでなく、部屋の窓をフレームとして眺めれば、まるで1 枚の絵画のような景色を作ってくれます。

どこに植えれば上手に生長してくれる?
綺麗に紅葉させる条件とは?

コハウチワカエデが自生している場所といえば、山のゆるやかな斜面や渓谷といった木々がお互いに木陰を作り出している涼し気な環境。
そのため、強い日差しが1 日中照り付けるような場所はあまり得意ではありません。また、あまり乾いた土壌は好みません。
つまり、平原にポツンと生えた木に直射日光が当たり続ける、というような過酷な環境でないことは容易にイメージできますね。


この木に限らず、山の木が好むのは光や水分、風がほどよく入るような場所です。
この「ほどよく」という環境をいざ、自宅の庭で見つけようとするとなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも日差しがガンガン照り付けるような場所に植え付けるのは避けたいところです。

ただ、カエデに限った事ではありませんが、広葉樹を美しく紅葉させるのであれば、ある程度の日差しは必要です。
街路樹などを見ていて「あれ?隣の木の方が鮮やかに色付いているな…」と思ったことはありませんか?
よく見ると、ハッキリ紅葉している方の木は日をよく浴びていて、隣の木は建物の陰になってしまっていて明らかに日照時間が短かったりします。
つまり、一日中日が当たらない場所に植えられた木より、よく日が入る場所にある木の方がよりハッキリと美しく色付くのがわかります。
カエデを植えるのであれば、やはり色付き方にはこだわりたいですね。紅葉を楽しみに植えるのであれば、できれば半日以上は光が入る場所に植えることをお勧めします。

植栽位置はゆっくり、のんびり決めるのが正解!

前述したとおり、山の木はどれも熱射は好まず、特に夏の西日にはとても弱いものです。あまりに日が当たりすぎると葉が黒く変色する「葉焼け」症状が出て紅葉もせずに散ってしまうことも。
葉焼けが進むと次第に枝にも水分が届かなくなって枯れてしまう場合もあります。


また、風があまり通らない高温多湿な場所、たとえば3~4方を壁で囲まれた中庭や小さな坪庭などは山の木にとっては厳しい環境といえます。
夏場の西日は午後2時頃から夕方5時頃まで照り付けます。
人間でも近頃の夏は西日の入る部屋はクーラーがあっても耐えがたいものがありますよね。
つまり、その時間帯に強い日差しにさらされる場所や、風が通らない場所は避けて欲しいもの。

植栽位置を決定するのは、その家に引っ越してみて、夏場の日差しがどこにどのように差し込むのか?
風通しはどうか?四季を通じて日光は何時間ぐらい入るか?…1 年ほど暮らしてみてからが理想です。
山の木を入れる場合は特に慌てずのんびり植栽計画を立てたいところです。

もし他の樹木の植栽と一緒に外構工事を完成させたい場合は、必ずプランナーに西日を避けたい旨を伝えておきましょう。

お庭に水たまりができたり、カチカチだったりした場合、
土壌改良した方がいい?
植え付けにはどんな土が適しているの?

カエデ類など山の木を植え付けるのであれば、やはりできるだけ山と同じような土壌環境を作ってあげたいものです。
山は落ち葉などの堆積物が豊富。それをミミズやバクテリア、菌などの微生物が分解し、ほどよい団粒構造をつくっています。水はけ・水持ちの良い、植物や樹木が育つのに理想的な土壌といえます。
…というと、なかなかハードルが高そうですよね!
お庭でこのような土壌環境を叶えるのは簡単なことではありません。
でも、ご自宅の庭が雨が降った後も水がなかなか引いていかなかったり、スコップを入れてもカチカチだったりする場合は水はけが悪い可能性があります。
このような条件下では、木はうまく根を伸ばすことができません。
こうした土質の場合は植え付けの際、できれば根鉢の深さプラスα10 センチ前後でも、古い土を出して新たな黒土を入れたり、腐葉土をすき込んでフカフカの状態を作ってあげましょう。
また、固い土は酸性に近い場合が多いので、植え付け1 週間前ぐらいに苦土石灰などを土にすき込んで中和しておくのも良いでしょう。とにかく山の土に近い状態に近づけてあげましょう。


また、植え付けた後も根元があまりすっきりして光が直撃するようであれば、植物を植え付けるのも一つの手です。
植物が面倒であれば、枯れ葉や市販の腐葉土などを被せておけば、山地の環境に近づけてあげることができ、直射日光を防ぐことができます!

枝がほっそりした自然な樹形が上品なコハウチワカエデ
強い剪定は避けてスタイルをキープ!

コハウチワカエデは生長しても幹が華奢(きゃしゃ)で、風情のある樹形が特徴的な木です。枝葉も少な目なので、手入れを細かく行わなくても自然な雰囲気を保ってくれます。
樹形を乱すような細かい枝や枯れ枝がある場合は、枝の分かれ目になる根元から切り落としておきましょう。
梅のような強い剪定を行うと思わぬところから細かい枝が吹いてしまいます。病害虫にも強いので、基本はローメンテナンスでOK。剪定は落葉後の10 月下旬頃から12 月頃まで。厳寒期は避けましょう。

いかがでしたか?山のような環境を再現するのは難しそう…と感じるかもしれませんが、カエデ類は一旦根付けば意外と強く旺盛に生長してくれますので、以下のポイントを改めて押さえてぜひ植え付けてみて下さいね。

  1. 西日や乾燥を防ぐことのできる場所を選ぶ
  2. 山の土に近い状態に改良して植え付ける
  3. あまり細かな剪定は行わない
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