ライラック(リラ・紫丁香花)

ライラック(モクセイ科 ハシドイ属)

枝先に咲かせるこんもりとした薄紫色の花は憧れの的
世界中で愛される「リラの木」

紫色やピンク、白の小さな小さな花が集まってこんもりとした花を咲かせる人気のライラック
その姿はとても愛らしいだけでなく甘い香りも魅惑的です。
フランス語では「リラ」という別名でも知られていますが、現地では「リラの花が咲く頃」といえば、一年でもっとも良い気候を指すとか。いかにこの5~6月頃の初夏の頃と共に、ライラックが愛着を持って語られる木なのか、よくわかりますね。

ライラックはもともとヨーロッパ東南部を原産とする落葉低木。日本に入ってきたのは明治時代、北海道に持ち込まれたことに遡ります。
全国的に知られる「さっぽろライラックまつり」をはじめとして、道内では公園や街路樹にさまざまな品種が植えられています。初夏に訪れたことがある人なら、その爽やかな花が咲き乱れる様子を見かけたことがあるのでは?
そのためか「ライラックは北海道や東北など寒い地方の木」というイメージを持たれることが多く、関東など暖かい地域では上手く育てられないと思っている人も多いようです。

確かにライラックは寒さにとても強い一方で、暑さや蒸れは苦手ではあります。でも実は植える場所やサイズ、時期などを工夫すれば、沖縄等の亜熱帯地域を除けば日本全国で栽培は可能です。
もし、ご自宅のお庭に入れてみたい…という憧れがあれば、簡単にあきらめずに栽培のポイントや暑さに強い品種を見つけて庭木に仲間入りさせてみませんか?
やさしい香り漂うライラックの花は初夏のシンボル

ライラックを庭で育てたい!そのためにはライラックについて知ろう

ライラックをシンボルツリーに、と思うのであれば、まずライラックがどのような木なのか?その生態を知っておく必要があります。
というのも、関東周辺ではあまり庭木として頻繁に植えられていないので、花は知っていても、全体像をしげしげと見たことがない方も多いのではないでしょうか?

ライラックは落葉小高木。樹高では2~4mぐらいになります。品種によってはもっとコンパクトに納まる暑さに強い品種もあります。
葉は薄く繊細で、5~6センチの細長いハート型のような形をしています。

花の開花は4~6月頃。花期はそれほど長くはありませんが、花が終わっても繊細な葉が初夏の風に揺れる様子はとても爽やかです。
品種によっては春、夏、そして晩秋と楽しめる四季咲き性もあるので、後の項でご紹介する品種を色々チェックしてみて下さいね。

ライラックの植え付けは、極寒期と真夏を除く10~3月頃に行います。
暑さや蒸れに弱いので、他の木と密集した場所や風通しの悪い場所に植えると、葉が白い粉に覆われたような状態になる「うどんこ病」や黒い斑点が葉に何か所も現れる「すす病」などの病気に侵されることがあります。
特にすす病菌はカイガラムシの排泄物をエサに増殖するので、まずはカイガラムシが付きにくい環境をキープすることが大事です。というのも、この黒い斑点は物理的に葉の光合成を阻害するため、それが原因で枯れてしまうことも。見て見ぬふりはできません!

この二大病は冷涼な気候を好むライラックを育てる上で常に気を付けたい病気。葉が混み合う常緑樹の近くを避けたり、周囲の木々の枝葉を軽く剪定するなど、風通しの良い環境を心掛けたいものです。

ライラックを植え付けるならどんな場所?

ライラックを植えるからには、花が楽しみですね。花付きを良くしたいのであればやはり日当たりは大事なのですが、関東周辺の夏の強い日差しや極度の高温、乾燥に遭うと葉が焼けて傷み、株が弱ってしまいます。
特に株を弱らせる夏場の西日は避けたいもの。東京周辺をはじめ関東近郊で育てるのであれば、枝葉や幹が直射日光に当たり続けない半日陰、涼しい風が通る場所がおすすめです。

土はあまり選びませんが、水はけの良い土を好むので、あまりに土がカチカチだったり、粘土質の場合は土に改良して植え付けましょう。もし、少しコンパクトな矮性品種をプランター栽培する場合などは特に株元の乾燥に気を付けたいもの。土の上に腐葉土やワラなどを被せてあげれば、適度な湿度を保つことができます。

関東周辺ではあまり大きな苗を最初から植えてしまうと、根を思うように上手く伸ばせなかった際、枝葉からの蒸散とのバランスが崩れて元気がなくなってしまう場合もあります。
ライラックは若い木でも早くから花を咲かせますので、少し小さめの苗から植えて、プランター等に植え付けてお庭の環境に慣らして行くのも一つの手です。

品種は人気樹種だけにバラエティ豊富
ライラックの花言葉もヒントにして選んでみては?

「ライラック」と検索してみるとわかりますが、その花色、品種の多さは驚くほどバラエティ豊富!花色にはピンク、紫、白などさまざまなカラーバリエーションがあります。
例えば、ピンクの中にもインパクトのあるピンクや可愛らしいベビーピンクのような色もありますし、定番の紫には品のある濃い色の品種もあれば、淡いかすかな紫なども人気です。清涼感溢れる白も素敵ですね。
調べれば調べるほど何がいいのか悩んでしまいますが、花色にはヨーロッパのさまざまなエピソードから付けられた花言葉もあります。花色に悩んだら参考にしてみて下さいね。

まず、ライラック全般としては「友情」「謙虚」「思い出」という花言葉がありますが、花色としては…
ピンクのライラックには「思い出」
紫のライラックの花言葉は「恋の芽生え」「初恋」
白いライラックの花言葉は「青春の喜び」「無邪気」

…などなど、それぞれに素敵な花言葉があります。もしご興味があれば、それぞれにその花言葉が付いたエピソードがあるので、調べてみてから選ぶのもいいかもしれません。



さて品種ですが、香りが良いものや花が大きいもの、コンパクトな樹形を保つもの、二期咲きのもの等など…花色に加えて実に個性豊かなバリエーションがあります。
この選択肢が豊富さがライラックの人気の高さを物語っていますね!

ここでは初心者に育てやすく、関東近郊での栽培に向いている耐暑性の高めのおすすめ品種をいくつか紹介します。

ドアーフ ライラック 各種
“ティンカーベル” ”ジョシー” ”ペンダ” ”ピンクパヒューム”

「ドアーフ」とはヨーロッパでは小さな妖精を意味しますが、つまり普通より小さな樹形のライラックです。「姫ライラック」とも言われます。このドアーフ品種は一般的なライラックより耐暑性も高く、コンパクトに納まるとあって近年人気が高まりつつあります。

ドアーフの中でも、ジョシー、ペンダ、ピンクパヒューム等は春咲いた後、夏から秋にも花を付けます。夏の暑さで少し小康状態になりますが、寒さにあたるとまた花を付け始める二期咲き品種です。
四季を通じて花が楽しめるので、いつもお庭が華やかに演出でき香りもよく漂います。
それぞれ2m行かない程度の樹高ですので、プランター栽培や狭いスペースにも植えるのにぴったり。ライラックを身近に楽しめる品種がドアーフ品種です。
ただ、小さいためシンボルツリーにするに…は少し樹高不足かもしれません。

ライラック パープルグローリー

上品な濃い紫色の一重の大輪の花で香りも良い品種です。暑さに強く、花付きも良いため初心者向きかもしれません。樹高は2~4mと一般的なライラックの高さになりますので、ドアーフ品種などと比べても庭木としてしっかりとした存在感があります。

ライラック カルフォルニアローズ

淡いピンクからラベンダーのような淡い紫色の大きな一重の花序が付きます。花からはとても良い香りが漂うのも魅力。花付きも良くコンパクトにおさまるので、小さなお庭にもうまく納まりそうです。暑さにも強い品種といわれています。

ライラック エンジェルホワイト

純白の大きな花は可憐そのもの。香りもエレガントです。暖かい地方でもよく育ち、樹高も同じく2~4mとなりますので、他のピンクや紫などの品種と組み合わせても素敵ですね。

育てるのが難しい?ライラックの栽培方法は意外と手間いらず

どうしても暑さに弱い=栽培が難しい、枯れやすい、そんなイメージもあるライラックですが、意外と育て方はシンプルです。
先にもお伝えした通り、土質は特に選ばないので、ブルーベリー等のようにアルカリ性、酸性などはあまり気にせずに植えられます。水はけの良い土を心がけて、赤玉土などを黒土や腐葉土に半分ぐらいブレンドしてあげましょう。

剪定も比較的手間がかかりません。というのも、ライラックは萌芽力が強くないため、むしろあまりに頻繁に剪定しまったりすると、新しい枝が出にくくなるばかりか全体の成長力が弱って枯れてしまうことも!
剪定を行う場合は花後の5~6月頃に行いますが、混みすぎた古い枝を剪定する程度でOKです。木全体を見た時に、妙に枝が絡まっていたり、伸びすぎたりしていなければ剪定の必要はありません。

ライラックの花が咲かない、花付きが悪くなった…それはもしかして

ただし、ライラックの幹の根元からのたまに、ひょこっと垂直に近い勢いで出てくる枝「ひこばえ」には注意が必要です。ライラックは接ぎ木としてイボタノキという、ライラックとは似ても似つかない木を台木としています。たまにそれが根元から出てきてしまうことがあるのです。
それを放置すると、イボタノキの勢いが勝ってしまい花付きが悪くなったり、樹勢が弱ってしまうことにも繋がります。
明らかにライラックらしからぬ色の枝(放置すると完全に幹と化します)が出てきたら、すぐに切除しておきましょう。なんだか気が付いたら小さな別の白い花が咲いていた…としたら、それはイボタノキかも!
ライラックよりイボタノキの方が大きくなってしまう…という話もありますので、ご注意を!

イボタノキの白い花

ライラックの花が咲かない理由としては、もう一つ、剪定を秋以降に行って花芽の付いた枝を切り落としてしまったことが原因になることもあります。
翌年の花を見るのであれば、剪定の時期は夏前まで行っておきましょう。

ライラックが害虫に!
生長が鈍ってきたな…と思ったら幹や根元を見てみよう

ライラックに付く害虫としては、新芽や枝にアブラムシやカイガラムシなどが付くことがありますが、それ以上に気を付けておきたいのがテッポウムシです。
これはライラックに限ったことではありませんが、なんだか最近、花付きが悪くなった、成長力が鈍った…というような変化に気付いたら、幹をよく見てみて下さい。
もし小さな穴が空いていて、根元におがくずのような木の粉が落ちていたらテッポウムシの幼虫の仕業です。
テッポウムシは幹の中に卵を産み付け、それが幼虫となって幹を食い荒らすのですが、これが進行すると肉眼でもハッキリ見つけられるほどの大きな穴になります。これに気付いたらすぐにその穴にノズルを入れるタイプの薬剤を注入して完全に退治しておきましょう。

ライラックに憧れていたという方は、ここまで読んでみてどんな感想をお持ちになったでしょうか?
品種や環境を選べば、関東周辺でもそれほど難しいわけではなく、手間のかからないことが伝わりましたでしょうか?ライラックが苦手な西日や蒸れ、そしてテッポウムシにさえ気を付けていれば、皆さんが思っているより元気に育つものです!

ご自分のお庭でも育てられそうかな…と感じたら、ぜひ耐暑性があってお気に入りの花が咲く品種を見つけてチャレンジしてみて下さいね。

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