ココスヤシ

ココスヤシ ヤシ科 ブティア属

銀白色の葉が悠然と風にたなびく姿がゴージャス!
一本だけでも、ゆったりとした時間に浸ることのできる木

近年のリゾートガーデンブームで日本でもジワジワと人気の高まりを見せているココスヤシ。ハワイや東南アジアのリゾート地で見たような南国ムード溢れる迫力たっぷりのヤシを自宅にも植えたい、そんなニーズの高まりから日本にも少しずつ植栽されるようになって来ました。
「ヤシ」と聞くと、恐らく多くの人がハワイなどの暖かいリゾート地で樹高20~30メートル近くになった姿を思い浮かべるかもしれませんが、ココスヤシは樹高より何より悠然と広げたゴージャスな葉張りと迫力満点の幹が特徴的です。銀白色に反り返る細長い葉、縦に大きく割れた太い幹は見ているだけで、時間の流れが変わってしまいそうなほど。

銀色の葉をダイナミックに広げるココスヤシ

ヤシというとビル3~4階ぐらいの樹高をイメージしますが…

カッコいいとは思うけれど、そんな木を自宅に植えるなんて大変そう…と思う方も多いと思いますが、意外にもこのココスヤシ、耐寒性がとても高く、ヤシの中では小型の部類に入ります。しかも病害虫にも強いとあって見かけほど手がかかりません!

もちろん、実物を見たことがあれば想像が付きますが、スペースだけは少なくとも直径5m前後は確保する必要があります! ただ、これ一本だけでも十分に存在感がありますので、日本の一般的な住宅の場合は庭や玄関先に単独で植えるケースも。
このインパクトのある姿を見れば、他の木はむしろ必要ないと言ってしまっても、言い過ぎではないでしょう。
とにかく他の樹木とはスケール感が違うので、これに惚れ込んだら周囲にはあまり他の木を植えず、ココスヤシだけを育てるスペースをまずはつくりたいものです。

自宅の庭のシンボルツリーにしたい!でも路地植えにして大丈夫?

近年ではホテルやレストランなどの植栽ゾーンに威風堂々と植えられるようになったココスヤシ。お洒落ではあるけれど、こんなところに植えて大丈夫?枯れてしまわないの?…と疑問に感じられることも多いようです。
ココスヤシはアルゼンチンやブラジルなど南米を原産とするヤシですが、その中でも比較的小さな品種。日本国内の気候では大きくなっても5m前後です。また羽状ヤシの中でももっとも耐寒性が高く-7~8℃まで耐えられますし、ちょっとした積雪でも枯れることなく耐えてくれる!意外なほどタフな木です。
関東周辺であれば路地植えもOK。実は公園や街路樹など公共スペースなどにも植えられているほどです。

関東周辺ではレストランやホテルの庭などでもよく見かけるようになったココスヤシ

とはいえ、年に数回は積雪もある関東周辺、いくら耐寒性が高いココスヤシとはいえ、あまりの過酷な環境には耐えられません。
他の木にも言えることですが、既に樹高が出てきている成木の場合、突然まったくこれまでと異なる環境に移されるとストレスで枯れてしまうことも。
特に原産地の気候が植栽地と大きく異なっている場合は、環境に馴染めるまでの数年は配慮が必要になってきます。

こうした日本国内での植栽に少し不安が残る木は、小さな幼木から植え付けるのがおすすめです。成木はその体に必要な養分を根や葉から大量に吸収しなければなりませんが、上手く環境に馴染めないと、根もうまく伸ばせずに衰弱してしまいます。
葉が全面的に白く枯れてきたりした場合は、根の活着や養分の吸い上げが上手く行っていない可能性があります。
幼木であれば、そこまで大量の水分や養分を必要としていないので、根を急激に伸ばす必要もなく、生長と共にその地域の気候や土壌にゆっくりと馴染ませていってあげられるでしょう。

生長スピードは年に2~3㎝とも3~4㎝ともいわれるココスヤシ。ゆっくりなペースではありますが、地植えにするとある時期から急に生長著しくなります。樹高1m前後の苗でも気長に育てて行けば、段々と存在感が出てくることは間違いありません。
お庭に植えた幼木が1年2年と生長する様子と、お子さんの成長を写真に残したりすれば素敵な思い出になりそうですね!

もし寒冷地などで栽培したいという場合は、大きめのプランターでチャレンジしてみる手もあります。鉢植えの場合の耐寒性は0℃前後。霜が降りる季節になってきたら室内に取り込んで観葉植物として楽しむのがおすすめです。
もちろん、関東周辺でもあまり大きくしたくない場合は、鉢植えで育てて行けばそこまで大きくなりません。

ホームセンターなどではあまり見かけないココスヤシ、その相場は?

実際に苗を見てみたい、と思ってもなかなか身近では見ることのできないココスヤシ
実は価格も大きくばらつきがあり、1m前後でも5千円~2万円前後。2~3mの庭木サイズで探すと葉張りや幹の立派さなどでも異なりますが、安いものでは4~5万円、幹が太くしっかりしたものでは20万円以上するものも!
お値段だけ見るとビックリしてしまうかもしれませんね。いずれにしても、普通の庭木とは大きく相場が違うことがわかってくると思います。

なぜここまで高額なのか、その要因のひとつに繁殖方法が挙げられます。
他の樹木の多くが接ぎ木(違う種類の樹木をつなげる方法)や挿し木(茎の一部分を切り取ってそこから発根させて増やす方法)などで、効率よく丈夫な株をスピーディーに繁殖させることができるのに対し、ココスヤシは種から育てて行く実生苗による栽培が主体。
生長もゆっくりなので、管理にも時間と費用がかかり、そのコストが単純に反映されてしまっているのでしょう。さらに大きくなればなるほど葉張りも広く確保しなければならないため、その分の費用も価格に上乗せされます。
もちろん、その希少性という部分も手伝っていることは言うまでもありません。まだまだ大きな株は身近で簡単には手に入りにくいだけに、仕方がないところではあります。

小さな苗から育てて行けば、愛着もひとしお!

せっかくのシンボルツリーだから!と最初からあまり大きな木を高額で購入して、上手く順応できずに枯れてしまっては残念です。やはり最初は「少し小さめかな」と思うぐらいの丈のものを選んでみるのがおすすめです。

ココスヤシ、植える場所はどこがいい?
管理のポイントは??

ヤシを植えるなら一日中、光をサンサンと浴びられるような場所でないと…とその南国イメージからは誰もが思いがちですが、実はココスヤシは耐陰性もあります。
観葉植物として育てる場合は、カーテン越しの光でもOK!逆に光が強すぎると葉の先が葉焼けしてしまうことも。

もちろん光の入る環境はどの植物、樹木にとって必須条件ですが、日本の住宅事情を考えると、ある一定時間は光が入っても午後からは建物の陰になってしまうとか、午後からしか光が入らないとか…全方向から一日中光が入る場所など無いに等しいですね。
それだけに、ココスヤシの耐陰性の高さはうれしいポイントです。ただでなくてもかなりの場所を取るので、日当たりに関しては少し遠慮してもらいましょう!
ただし、あまりに暗い場所では葉だけが徒長してヒョロヒョロに育ってしまいます。できれば明るい半日陰ぐらいの日照があると良いでしょう。

植え付け時期は耐寒性があるとはいえ、地植えにするのであれば、11~3月の厳寒期を除いた時期が理想です。水やりは冬場は控えめでも大丈夫ですが、最初の半年から一年間ぐらいの根が付くまでの期間はきちんと行いましょう。

どのように管理したら樹形をキープできる?
枯れてきた葉はどうしたらいいの?

反り返った美しい葉やゴツゴツとした幹が存在感のあるココスヤシ。できるだけ理想の姿に育てていきたいですね。まず幹ですが、あの個性的な縦割れの幹に仕立てるには、枯れた葉を小まめにカットしていく必要があります。
よく目にする幹の割れたような部分は葉を切った痕跡。葉が白く枯れてきたら、葉の根本からカットしていくとゴツゴツとした幹に仕立てられるというわけです!

やがて生長して高さが出てくると、その部分が徐々に上に登って行き、本来の幹が上がってきます。ゴツゴツとした葉のカット跡は見上げる位置になってしまうので、この味わい深い幹が見えるのは樹高3~4mまでの時期限定の楽しみともいえるかもしれません。

ちなみに、葉先だけが白く枯れてしまった、という場合は水分が行き渡っていない可能性があります。その場合はいくら水やりを頑張っても緑には戻らないので、斜めにカットしてあげると自然な雰囲気に仕上がります。ただ、ココスヤシの茎には棘(トゲ)があるので、手入れを行う際は厚手の手袋などを使いましょう。

ココスヤシの実は食べられるの?

ココスヤシの実、というとあのミルクやオイルに使われるココナッツ?と思いがちですが、ココナッツはココスヤシとよく勘違いされる「ココヤシ」の実です。
名前がそっくりなだけでなく、雰囲気も同じようなヤシなので混乱しやすいのですが、ココヤシはいわゆる南国のヤシなので耐寒性も低く、関東周辺での路地植えには耐えられません。

ではココスヤシの実はというと、7~8月頃に細長い赤い花を咲かせますが、その後9月頃に小さな丸い形の緑の実を付けます。熟すに従い、黄色、赤へと染まっていきます。
実には食べる部分が少ししかありませんが、果実を漬けてシロップにしたりジャムにすることも可能です!多少加工が手間はかかりますが、お庭で採れたヤシの実を口にできるなんて、まさに南国気分を満喫できそうですね。

お庭に植えたらライトアップして
照らされた葉のシルエットを楽しみたい!

ココスヤシをお庭にお迎えしたら、ぜひトライして欲しいのがライトアップです!
ダイナミックで優雅な雰囲気は昼間でも十分感じられますが、下からアップライトで照らすことで、その繊細な華やかさや風に揺れる葉のゴージャスな様子をまた違った表情に映し出してくれます。建物やデザインウォールを背景に照明を配置すれば、昼間だけでなく、夜もまるでリゾート地のホテルにでも滞在しているかのような気分に浸らせてくれるでしょう。

いかがでしたか?まだあまり街中でも見ることの少ないココスヤシ、その生態の謎、少し紐解けたでしょうか?ココスヤシの魅力はやはり見る者を圧倒する優雅さ。
幼木から成木になる過程でもその様子は大きく変化していくので、スペースが許せば、ぜひゆっくりと生長を楽しみながら、リゾート気分を存分に味わっていただきたいものです。

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